戦略は、その戦略が合う人の手の中でしか機能しません。このレッスンでは、その理由と、性格とトレードについて研究で分かっていることを見ていきます。
オリンピックの射撃選手を思い浮かべてください。その人のメガネには、最高のレンズと最も高価なフレームが使われています。レンズは本人の目に合わせて削り出されたものです。
では、同じメガネをかけてみます。2分もすると何もかもがぼやけ、頭が痛くなってきます。
メガネに欠陥はなく、持ち主にとっては完璧に機能しています。そのレンズは、別の人の目のために作られたものです。
トレード戦略もメガネと同じで、それを通して相場を見ます。YouTuber、Instagramの講師、Telegramチャンネルの戦略は、その人の目に合わせて作られています。つまり、その人の時間、資金、忍耐力、神経の強さに合わせたものです。
その戦略をそのままコピーすると、相場がぼやけて見えます。エントリーはいつも遅れて見え、損切りの位置を動かしてしまい、トレードのたびにストレスが増えていきます。
チャンネルが配信する既製のシグナルも、自分のメガネにはなりません。自分の目に合わせて作られるシグナルはありません。
間違った問い: 「世界一の戦略はどれか?」
この問いは、世界一のメガネはどれかと尋ねるのと同じです。答えは目によって変わります。近視なのか遠視なのか。読書用なのか、夜の運転用なのか。
相場も同じです。数秒ごとに判断するスキャルパーと、週に1回チャートを見る投資家とでは、まったく違う2つのメガネが必要です。
正しい問いはこうです。自分の目の度数はいくつで、それに合う戦略はどれか。
メガネ店では、メガネを作る前にまず視力を測ります。トレードでも、まず自分自身を測る必要があります。レッスン5の10問のトレーダー自己診断テストが、その視力検査です。
性格とトレードについて研究が示していること
2005年、アンドリュー・ロー、ドミトリー・レピン、ブレット・スティーンバーガーの3人は、80人のデイトレーダーの感情を5週間にわたって毎日測定しました。その後、その感情とトレード成績を比べました。成功するトレーダーに特有の性格パターンは見つかりませんでした。
もう1つの発見はもっと明確でした。利益にも損失にも強く感情的に反応するトレーダーほど、トレード成績が悪かったのです。
この2つの発見を合わせると、成功は特定の性格に結びついていないと言えます。大切なのは、自分自身の性格にとって感情的な負担が最も少ない手法です。
2008年、クリフ・メイフィールドらは、性格がその人の投資期間に影響することを示しました。外向的な人ほど、短期で投資しようとする傾向がありました。不安を感じやすい人やリスクを避けたがる人は、短期の投資から距離を置いていました。
同じ研究では、新しい経験に開かれた人ほど長期の投資に傾いていました。
ジャック・シュワッガーは長年、世界のトップトレーダーにインタビューを重ね、有名な「マーケットの魔術師」シリーズを書きました。著書『Hedge Fund Market Wizards』では、それらのインタビューから得た教訓をまとめています。その1つがこれです。自分自身の性格に合う手法を見つけること。
長年プロのトレーダーのコーチを務めてきた心理学者のブレット・スティーンバーガーも、同じことを別の角度から語っています。彼によれば、人は情報の受け取り方も理解の仕方もそれぞれ違います。そして多くのトレーダーは、自分の頭の強みを活かせていません。
